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罰ゲーム第四弾

さて、私のお話も、これにて終了。
今まではよくできたエロゲのような展開に見えましたが、
やはりこれは現実なのだということをお見せいたしましょう。

これを読み終わったら私に文句を言いましょう。
私も、ガキの頃の私に文句を言いたいです。


それでは、前回の続きより。
どうか、ご照覧あれー









case3-2 日々と別れ


次の日、顔をあわせた時に少しぎこちなかったが、あとはいつも通りだった。
姉は6年生だったので、私たちと遊ぶよりも同級生と遊ぶほうが多くなり
必然的に私たちは2人で遊ぶことが多かった。

普通にゲームで遊んだりすることも多かったが、
私の部屋で遊ぶときは、なぜか例の「触りっこ」をするのが大半だった。
相変わらずこの遊びの趣旨がよくわからなかったけど、
この遊びをしていると何かふわふわした気持ちになった。

ここまでしておいて変な話だが、私と彼女はキスはしていなかった。
この行為の意味は分からなかったけど、キスの意味はなんとなく知っていた。
好きな人同士でしかしてはいけないことだと理解していたので、
お互いに「好き」と言っていない人同士がしてはいけないことだと思った。


彼女はどうやら私より、この行為について知っているようだった。
私の下半身が硬くなる意味も、この行為の意味も。
でもなんだか聞くのもはばかられたので、私はあえて聞かなかった。


行為に慣れてくると、私たちはゲームやマンガのキャラクターになりきって「触りっこ」をしたりした。
キャラになりきったときには、私たちはお互いを「好き」と言った。
でも肝心の素の自分の時には、それを言うことはなかった。
あたかもその言葉がタブーであるかのように。


ある日、私は風邪をひいて学校を休んだ。
体がだるくて頭がボーっとしていたので、母親に言ってその日は休むことにしたのだ。
風邪薬を飲んで昼まで寝るとだいぶ楽にはなったが、まだ咳が出てつらかった。

特にすることもなく浅い眠りについていると、額に冷たい感触があった。
目を覚ますと、彼女が私の額に冷たい濡れタオルを置いてくれていた。

「大丈夫?」
「うん、ありがと。寝たらだいぶ楽になってきたよ」
「そっか…。まだつらいなら、寝てていいよ?」
「ん、そうする…」

私はほんとうにダルかったので、また眠りにつくことにした。
たまにタオルが交換されていたようで、その優しさが病気の心に染みた。
すっかり日も落ちたころにふと目を覚ますと、彼女がベッドで寝ていた。私の隣に。
寝ぼけまなこで、「暗くなるまでタオル変えてくれていたんだな」と思い、
軽く彼女の頭をなでて再び眠りに落ちた。


風邪もすっかりなおり、再び私たちはいろんなことをして遊んだ。
彼女は性格は少しきつかったけど根は優しくて、一緒に居てすごく楽しかった。
彼女とゲームをしたら楽しい。
彼女と最近飼ったうちの犬の散歩をするのが楽しい。

そして、彼女と例の行為をするのが楽しい。

私は知識がなかったので未だによく分かっていなかったけど、
お互い触る以上にエスカレートすることはなかった。
キスはしないし、お互いに「好き」とは言っていない。
だけど私は彼女が大好きで、
自惚れでなければ、彼女もそうだったんだと思う。
中途半端に、お互い好きあっているという確認を─
一線を越えることなく、私たちは時を過ごしていった。


雪降り積もる北海道の12月。
私はいつものように彼女と一緒に学校へ通っていた。


「ねぇ…」
「ん、何?」
「私さぁ…」



「転校、することになったんだ」
「……え?」

「お父さんとお母さんね、最近ケンカばかりしてたんだ」
「う、うん」
「お父さんが、外で女の人と会って帰って来なかったこともあったんだ」
「……」
「それでね、お父さんとお母さん、離婚することにしたんだって」
「………」
「だから、あと10日くらいでお母さんと一緒に引っ越すことになったんだ」
「そっか……寂しくなるね…」
「そだね……」

「そ、それならさ。10日間、たくさん遊ぼうよ!」
「うん……」
「ね、元気だして。そんな顔してるよりさ、笑いながら僕の頭を叩くくらいが丁度いいよ」
「さ、最近はそんなに叩いてないでしょ!」
「えー、そうかなぁ…この間だって…」

「ぐちぐちうるさいっての!」
「いって!ほらやっぱり叩いたー」
「アンタがいちいちうるさいからだよっ」
「はーい。すいませんでしたー」
「心がこもってないよ?」
「ソンナコトナイy…いってー!」


何はともあれ、彼女が笑っていればそれでいいのだ。
いくら気にしないと言っても、叩かれれば痛いんだけどね。


それから数日間は、とにかく遊んだ。
あと二週間もしないうちに彼女がいなくなると思うと悲しかったけど、
それを忘れようと、いや、忘れるくらいにたくさん遊んだ。
雪山に上ったり、雪合戦したりと、冬は外に出れば遊びに困ることはなかった。




「もうちょっとで引越し…だね」
「うん…」
「あと3日だっけ?」
「そうだよ」
「そうかぁ…で、でもさ。多分新しい学校でもやっていけると思うよ」
「当たり前。任せておきなさいって」
「だって、ほら。無駄に元気でしょ、すぐ馴染めそうだよね」
「無駄って何よ無駄って!」
「いや、うん、ごめん。でもあんまり人の頭叩くのはやめなよー?僕じゃなかったら怒るよ普通」

はぁ…とため息をつく彼女。
「アンタだから叩くんでしょうが…まったく…」
「ん、何?」
「何でもない」

彼女が私のベッドに座り、ちょいちょいと手招きしてきた。

「するの…?」
「ん、嫌?」
「いやいやいや、全然嫌じゃないよ」

正直言って、意味が分からなくても私はこの行為にハマっていた。
ガキのくせにえろえろだった。

いつもの通り、私は彼女の胸に手をやる。

「んっ…」

彼女がくすぐったそうに声を出す。この声が、私を突き動かすのだ。
普段はきつい彼女が、胸を触られると甘い声を出す。
そのギャップが、たまらなく魅力的だった。
その声を聞きたくて、私は手を休まず動かす。

初めてこの行為をしたときよりも、彼女の胸はこころなしか膨らんでいるようだった。
弾力がすこしだけ増えて、触りごこちが良くなった。
最初の時みたいに「触る」だけでなく、気持ち「揉む」こともできるようになった。
胸の柔らかい感触、彼女の汗のにおい、少し潤んだ彼女の瞳。
彼女の全てが愛おしかった。

彼女の顔を見ると、彼女はやっぱり恥ずかしそうに顔を赤くしている。
私だって、初めてのときより慣れたとはいえ、やっぱり心臓はドクドクしている。

私は彼女の顔を見る。
呼吸をするために少しだけ開いた、形の良い唇。
そこに、自分の唇を押し付けたい衝動にかられた。

彼女の両肩に手をやる。
彼女はまっすぐ私を見ている。
顔を彼女に近づけていくと、彼女の目が少しずつ閉じていった。

キスを、してしまいたい。
でも、こんなことをしていて何だが、知識のない私にとってキスは最も大胆な行為だった。
それは「好きです」と告白するのと同じ意味だと考えていた。
彼女は、受け入れてくれるだろうか。
断られたらどうしよう。
不安だった。怖かった。そして何より私には勇気がなかった。

今までずっと越えることのなかった一線を、越えることができずに。
私は、そのまま彼女を抱きしめた。






次の日。

学校から帰ってきて、私たちは部屋でのんびりしていた。
彼女と居れば、なにをして遊んでも楽しかった。
普段そんなにおしゃべりではない私も、彼女と話す時には自然と饒舌になった。

でも、私はすっかりあの行為に目覚めてしまった。
おしゃべりが楽しくないわけではないが、早くあの行為をしたかった。
彼女のあの声が聞きたかった。

「ねぇねぇ」
「何?」
「……アレ、しない?」
「えー。昨日したばっかでしょ」
「いや、そうだけどさー」
「私はイヤ。今日はあんまりそういう気分じゃないし」
「でも僕はしたいよー」
「………」
「ねーしようよー」
「しつこい!」

普段聞くことのない声色だった。
何より、怒っているのに私の頭を叩かない。

本気で嫌がってるのかな、と私は直感した。

「ご、ごめん」
「……今日は私、もう帰るわ」
「で、でも早くない?まだ4時ちょっとくらいだよ?」
「また明日ね」

そう言って、彼女は振り向くことなく家へ帰っていった。

私は部屋に一人取り残され、呆然としていた。


なんで、あんなに怒っていたんだろう…。
確かにちょっとしつこかったかもしれないけどさぁ。
でも、彼女だって胸を触られたら嬉しそうだったじゃないか。
気分じゃないって言ったって、僕はそういう気分なんだよ。仕方ないじゃないか。
僕はもっと彼女に触りたいよ。もっと。

………。
僕がもっと彼女に触りたい……?
あれ?
あんまり僕ばっかり触っていたから忘れそうになるけど。
アレは、僕と、彼女が2人いないと出来ないことなんだ。

うーんと…だから…。
1人でやるゲームとは違うんだから。
えーと…。
2人ですることなんだから…。
そっか。
僕が、僕がと自分のことばっかり考えすぎていたんだ。
彼女が嫌がってるなら、しちゃいけないことなんだ。

バカだなぁ……僕は。
こんな、当たり前の事に、今頃気づくなんて。
ほんと、バカだよ。
引越しする前に、仲直り…できるかな…。





次の日の朝。


「ごめん!」
「……」
「本当にごめん!僕は自分のことしか考えてなかった。そっちの気持ちを全然考えてなかったよ」
「………」
「本当に、すいませんでした」

「…いいよ」
「本当に…。え?」
「分かってくれればいいの。それに私もちょっと意地悪だったかもね」
「いや、そんなことないよ。本当にごめんね?」
「うん、もう許すから。これ以上謝ったら叩くからね」
「あ、ごめん。わかった」
ぺしっ!
「あいたー!」



学校が終わると、私たちは着替えて、外で遊ぶことになった。
本音を言えば、私はやっぱりまだ彼女と中で触りっこをしたかったけど、
彼女が嫌なのなら、それは遊びの選択肢には入らないものなのだ。

雪合戦をしたり、かまくらを作ったりと、やる事はある。
あるのだが、長い冬の中で、もうそれらはやりつくしてしまった感があった。

それは彼女も思っていたようだった。
「今日が最後なのに、なんか暇だねー」
「雪合戦とかも飽きたよねー2人だし」
「うーん…あ、そうだ!」
「ん、何?」
「いいからこっちこっち!」
言いながら、彼女は走り出す。

どこに行くのかな?と思いつつ私も走ってついていく。
彼女に言われるがままにたどり着いたのは、私の家の裏側だった。

「ほら、ここからこうやって登って…」
「え、もしかして屋根に登る気?」
「そうだよー。面白そうでしょ?」
「危なそうだよ!やめようよ」
「大丈夫大丈夫。まだ雪が落ちるような時期じゃないって」
「そ、そうだけどさー」
「いいからほら、黙ってついてくる!」
「うー…」

裏の物置から屋根の傾斜づたいに登って、屋根のてっぺん近くまで上がることができた。
そこで私たちは大の字になって寝転んだ。

「いい天気だねー」
「太陽があったかいね」

空は雲ひとつない青空で、少しまぶしかったけど日向ぼっこには最適な日和だった。

2人ともボーっと空を見上げる。
すごく、いい雰囲気の沈黙が訪れた。

これが、最後の機会だと思った。
言わなくちゃ。好きですって、言わなくちゃ。
勇気を出せ。頑張れ。
すーはーすーはー。

でも、断られてこの関係が壊れるのは…
不安だ。怖い。どうしよう。
すーはーすーはー。
頑張れ僕!

「………あのさー」
「ん、何ー?」
「………………」
「何?どしたの」
「えーと……あー……」



















「や、やっぱいいや。ごめん、なんでもない」
「………そう?なら、いいけど」

バカ!何でもなくないだろ!
ほら、早く「あ、やっぱり」とか言ってさ、ほら早く言え!
頑張れ僕!頑張れ!

「あ、ちょっと来てー」
「へ?あ、うん」

「ほら、ここから滑り降りれそうじゃない?」
「ええー!危ないって。来たところから戻ろうよー」
「大丈夫だって。別に一気に地面にいくわけじゃないんだから」
「や、そうだけどさー。ケガとかしたら」
「ホント、あんたは意気地がないよねー。1クッションあるんだから大丈夫だって。雪もあるし。ほらついてきて」

そういうと彼女は姉の部屋のベランダのようなところに着地した。

「ほら、大丈夫だったでしょ。早く早く。ファイトー」

ほんと、僕は意気地なしだ。
全然勇気がない、臆病者だ。

「お、ようやくやる気になったか。ほら、大丈夫だから頑張れー」
「分かったよー。行くよぅ」

「ハイ着地ー。ね、大丈夫だったでしょ」
「うん、見た目よりも高くなかったね」
「でしょー?そういうもんだって。じゃあ次。今度は地面に着地!」
「ちょっとまって心の準備がちょ、まっうわあああ」

ふたりで同時にしたに積もっていた雪の塊に着地。
中に少し混じっていた氷がちょっとだけ痛かった。

彼女と過ごした最後の時は、すごく楽しかったけれど。
僕は結局、彼女に気持ちを伝えることができなかった。

僕は、彼女が大好きだったけれど。
どうしようもなく臆病で、勇気のない、意気地なしだった。























──そして、現在。

私と彼女は19歳になった。

実は引っ越したと言っても、同じ市内。徒歩30秒が自転車30分になったくらいである。
彼女は中学高校と、彼氏をとっかえひっかえしていたそうだ。
だけど今ではだいぶ落ち着いてきて、しばらくそういう遊びはいいや、なんて言ってやがる。
ホント、やってくれるぜ。私をずっと思い続けてくれよ。
ご都合主義のエロゲのようにさ。

なーんて。
ヘタレの私には彼女は勿体無い。
実は今日、こうやってこのお話を執筆している私の近くで、
彼女がスパーッと煙草を吹かしながら三国無双4をやっている。
悩んでいたので、赤兎鐙の取り方を教えてやった。そんな簡単なのかよ、とキレていた。
当然、彼女が近づいてきたら、神域の速さでCtrl+S Alt+F4。

ちなみに、木曜日はたまに彼女の母親が私の町内にミニバレーをしに来る。
彼女はその運転手というわけだ。

彼女は、もう昔のように私の頭は叩かなくなった。
それでも、相変わらずきつい性格をしている。
でも、やっぱり根は優しい。
勿論、今でも容姿は良い。胸も、あのころより格段に大きく







時は流れる。

「そういや、アレだね。もう10年以上の付き合いになるのかー」
「幼馴染ってヤツだねー」

私も彼女も、もうだいぶ変わってしまった。

「もう、私らって男と女って感じじゃないよねー」
「んー。まぁそうかもなー」

思いは不変なんかじゃなく。

「ていうかさー、私の幼馴染なんだからさー。もうちょっとこう…格好よくならないの?そういうもんじゃない?幼馴染って」
「知らんわ。すいませんねー、格好よくなくて」

時と一緒に思いも流れていってしまったけれど。

「コンタクトにしろコンタクトに」
「えー。目にレンズいれるんだよ?嫌じゃない?なんか」


それでも、変わることなく続く思いが何処かにあるのではないか──

私は、そう思う。





























さてさて、ここまでこのお話を読んでくれたアナタ。



「私は」、まだ彼女のことが好きだと思いますか?
それとも、もう今更そういう関係では無い、と感じていると思いますか?


どっちなのかは、そちらのご想像にお任せ致します。



何はともあれ、拙い私のお話をここまで読んでくれたあなたに最大級の感謝を。
それでは、またの機会がないことを祈りつつ。

 -fin-
by srtrkodama | 2006-03-17 04:29 | 徒然
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